多摩エリア/新築戸建
多摩エリアにおける
新築戸建の価格帯と販売動向
選べる価格帯は、地域によってどれほど違うのでしょうか。大手不動産ポータルサイトの13か月分の掲載情報から、価格帯の変化と返済予算に収まる掲載の割合を読み解きます。
本記事の「物件掲載件数」は、ポータルサイトに掲載された物件広告の件数です。同じ物件を複数の会社が掲載している場合も含むため、実際の物件数や販売戸数とは異なります。
01
今月のポイント
- 01
中央値は前年同月より319万円上昇多摩全体の掲載価格下限中央値は4,780万円から5,099万円へ。重複とみられる物件広告をまとめ、価格が確認できるものを集計した結果です。
- 02
4,000万円以下は29.1%から23.5%へ掲載構成は高価格帯側へ変化しています。同一住宅の値上がり率を示すものではありません。
- 03
八王子市と調布市の中央値に2,510万円の差4,000万円以下の割合も、八王子市46.6%に対し調布市1.8%と異なります。
- 04
前月から掲載されている物件広告では価格下限の引下げも8月から9月に引き続き掲載されている物件広告3,304件のうち982件で下限価格が低下。販売対象住戸の入替えによる変化も含みます。
同一住宅の複数社掲載を含む
価格集計対象は2,900件
前年同月比+6.7%
前年同月から5.6ポイント低下
02
PRICE RANGE価格帯別の掲載構成
2026年9月/価格集計対象2,900件
構成比4,000万円超〜6,000万円が47.0%を占めます。価格帯掲載は下限価格で分類しており、すべての住戸がその価格で購入できるわけではありません。棒の長さは構成比30%を基準としています。
03
AREA COMPARISON市別の価格差
主要4市の掲載価格下限中央値
万円| 市 | 価格集計件数 | 前年9月中央値 | 当月中央値 | 4,000万円以下 |
|---|---|---|---|---|
| 八王子市 | 444 | 4,090万円 | 4,280万円 | 46.6% |
| 町田市 | 253 | 4,690万円 | 5,180万円 | 15.8% |
| 立川市 | 99 | 4,780万円 | 5,180万円 | 8.1% |
| 調布市 | 111 | 5,690万円 | 6,790万円 | 1.8% |
駅距離、土地・建物面積、仕様などを揃えた比較ではありません。市内でも条件により価格差があり、市全体の中央値だけで個々の物件の割安・割高は判断できません。
04
13-MONTH TREND価格帯の上昇と掲載の入れ替わり
多摩全体の掲載価格下限中央値
万円/縦軸4,500〜5,500左端は2025年9月、右端は2026年9月。掲載される住宅の構成変化を含みます。
13か月の集計値を見る
| 年月 | 物件掲載件数 | 重複とみられる掲載をまとめた件数 | 中央値 | 4,000万円以下 |
|---|---|---|---|---|
| 2025.09 | 6,227 | 3,146 | 4,780万円 | 29.1% |
| 2025.10 | 5,661 | 2,975 | 4,790万円 | 27.1% |
| 2025.11 | 5,642 | 3,015 | 4,890万円 | 25.8% |
| 2025.12 | 5,556 | 2,995 | 4,890万円 | 25.7% |
| 2026.01 | 5,752 | 3,029 | 4,980万円 | 26.1% |
| 2026.02 | 5,644 | 3,004 | 4,980万円 | 25.1% |
| 2026.03 | 5,593 | 2,862 | 4,990万円 | 24.0% |
| 2026.04 | 5,573 | 2,859 | 5,080万円 | 23.6% |
| 2026.05 | 5,307 | 2,816 | 5,090万円 | 24.3% |
| 2026.06 | 5,349 | 2,819 | 5,180万円 | 24.0% |
| 2026.07 | 5,244 | 2,763 | 5,190万円 | 24.0% |
| 2026.08 | 5,444 | 2,900 | 5,180万円 | 24.0% |
| 2026.09 | 5,541 | 2,931 | 5,099万円 | 23.5% |
8月から9月の物件掲載件数は5,444件から5,541件へ増加。前月から引き続き掲載されている物件広告は3,304件、今月新たに確認された物件広告は2,237件、前月にあり今月は確認できなかった物件広告は2,140件です。今月確認できなかった理由には成約のほか広告停止・再掲載等があるため、成約件数や販売速度には置き換えられません。
前月から引き続き掲載されている物件広告で下限価格が変わった1,148件のうち、低下982件・上昇166件。変化額の中央値は−200万円です。同じ物件広告でも販売対象住戸の変更があるため、「同一住戸の値下げ件数」とは区別します。
05
AFFORDABILITY返済予算に合う掲載はどれくらいか
金利1.5%・35年の借入額試算
掲載下限が予算内:8.0%| 世帯年収 | 35年返済 | 50年返済 | ||
|---|---|---|---|---|
| 借入額試算 | 予算内掲載割合 | 借入額試算 | 予算内掲載割合 | |
| 500万円 | 2,722万円 | 1.9% | 3,516万円 | 13.2% |
| 600万円 | 3,266万円 | 8.0% | 4,219万円 | 26.5% |
| 700万円 | 3,810万円 | 18.1% | 4,923万円 | 45.1% |
共通条件:額面世帯年収に対する返済負担率20%、金利年1.5%が全期間一定、元利均等・毎月末返済、ボーナス返済・既存借入・頭金なし。購入時諸費用・税金・保険・修繕費は別途。割合は丸め前の借入額と掲載下限を比較しています。1.5%は比較用の仮定であり、2026年9月の代表金利や融資の約束ではありません。
| 仮定金利 | 35年・月10万円 | 50年・月10万円 |
|---|---|---|
| 1.0% | 3,543万円 | 4,720万円 |
| 1.5% | 3,266万円 | 4,219万円 |
| 2.0% | 3,019万円 | 3,791万円 |
| 3.0% | 2,598万円 | 3,106万円 |
期間の効果だけを比較するため同じ金利を用いています。実際の50年商品は金利・年齢・住宅性能等の条件が異なります。月10万円を払い続ける総額は35年で4,200万円、50年で6,000万円です。住宅金融支援機構の金利情報/フラット50の利用条件(2026年9月16日確認)。
06
AREA & BUDGET同じ年収でも、選択肢は地域で違う
世帯年収600万円・返済負担率20%・金利1.5%のモデルを主要4市に当てはめます。
| 市 | 35年/約3,266万円 | 50年/約4,219万円 |
|---|---|---|
| 八王子市 | 22.1% | 49.5% |
| 町田市 | 0.8% | 20.9% |
| 立川市 | 1.0% | 10.1% |
| 調布市 | 0.0% | 1.8% |
予算に合う掲載の割合は、八王子市で相対的に高い。この4市比較だけで都心距離が原因とは断定できません。通勤経路、駅徒歩・バス便、住まいの広さなどとあわせて検討する必要があります。
購入希望者数や成約確率を示す指標ではありません。人口・世帯・所得による需要分析は未実施のため、構成確認に使っていた仮の人口・世帯数は掲載していません。
08
調査概要
- 対象地域
- 東京都多摩地域26市と瑞穂町・日の出町・檜原村・奥多摩町。CSVで西多摩郡と表記される掲載を含む。掲載のない自治体も対象範囲に含みます。
- 資料・時点
- LTS提供の大手不動産ポータルサイト掲載情報。2025年9月〜2026年9月の13回、各月中旬。9月ファイルの記録日時は2026年9月15日。元データ・販売会社名・物件住所の明細は公開しません。
- 対象カテゴリ
- 詳細URLが新築戸建(ikkodate)の掲載を抽出し、土地(tochi)を除外。9月全国137,876件中、新築戸建123,331件、土地14,545件。手集計の全件数との違いはカテゴリの対象範囲によります。
- 重複とみられる掲載のまとめ方
- 各月内で、NFKC正規化・空白除去した所在地、価格下限・上限、土地面積下限、建物面積下限が一致する掲載を1件にまとめます。重複が残る場合や、同条件の別住戸をまとめる場合があり、実物件数・販売戸数ではありません。
- 価格・割合
- 価格帯表示は販売価格1(下限)を使用。9月は重複とみられる掲載をまとめた2,931件のうち価格欠損31件を除く2,900件で算出。掲載価格であり成約価格ではありません。中央値の変化には地域や住宅属性の構成変化を含みます。
- 掲載動向
- 月ごとの物件広告の識別番号を照合し、今月新たに確認された広告、前月から引き続き掲載されている広告、前月にあり今月は確認できなかった広告に分類します。同じ物件の複数社掲載を含む、広告ごとの集計です。再掲載・広告停止・住戸入替えを識別できず、成約や同一住戸の値引きは判定できません。
- 返済モデル
- 年収・負担率・金利・期間を仮定した借入元本の試算。金融機関の審査上限、実際の購入希望価格、個別家計の安全な予算を示すものではありません。長期返済は総返済額・完済年齢の確認が必要です。

07
LTS VIEWLTSの考察
価格帯の上昇と価格調整を分けて読む
中央値が前年より高くても、前月から引き続き掲載されている物件広告では下限価格が下がるケースがあります。供給構成の変化と個々の広告の価格調整は別の動きです。これらを継続して追うことが、販売現場の感覚を数値で確かめる助けになります。
価格だけでなく、暮らしの条件を伝える
予算に合う住宅を検討する際には、通勤・通学・買い物などの条件も比較されます。販売図面では確認済みの交通・周辺環境情報を具体的に示し、その価格で得られる生活を伝えることが重要だとLTSは考えます。
誰に何を伝えるかの判断材料に
地域別の価格帯と返済モデルを合わせることで、訴求対象を検討しやすくなります。ただし、需要の厚みには人口・所得・反響・成約データも必要です。今回の分析を出発点として次回以降に検証を広げます。